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11月のお話し

木魚の由来について辞書には、江戸時代初期に来日して日本黄檗宗の開祖となった隠元禅師によって魚の形をした開梆(かいぱん)が伝わり、次第に改良されて現在の形となって、諸宗で使われるようになったと説明されていました。木魚に関する古い文献は、中国の至元2年(1336)に刊行された禅宗寺院の教団規則『勅修百丈清規』とのことで、そこでは「昼夜目を閉じない魚は不眠不休を表わす。魚のように昼夜の別なく寝る間を惜しんで日夜修行に励むように」と木魚の意義が説かれます。そうであるならば、木魚が伝来したとされる江戸時代初期と『勅修百丈清規』の刊行された1336年とでは時代が合いません。

研究によると、鎌倉・南北朝時代には中国商船の来航が頻繁にあり、こうした船を利用して南宋・元に留学した僧侶は1,000人以上とのことですから、木魚が日本に伝わった時期は、南北朝時代までさかのぼることも考えられそうです。木魚は修行僧の眠気と煩悩を戒める法具なのですが、睡眠時間や栄養素が慢性的に不足する修行僧にとって、その温かみのある音と単調なリズムが何ともありがたく、いつしか忍び寄る睡魔と闘うことは容易ではありません。合掌


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