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2023.04.03

4月のお話

初唐の詩人、劉希夷(りゅうきい 651~679?)の「白頭を悲しむ翁に代わる」(白髪になった身を嘆く老人に代わってその気持ちを詠じた詩)に、「年年歳歳花相似たり 歳歳年年人同じからず」の有名な一節があります。「年ごとに花は同じように咲くけれども、この花を眺める人は年ごとに変わっているのだ」といった意味になりましょうか。解説書によれば、人の容姿や栄華、大自然の無常を詠んだ詩なのだそうです。この「無常」という仏教語は、仏陀の説く「ありとあらゆるものは永続性が無く、移り変わって少しもとどまらないこと」を意味しますが、日本においては特に滅びの哲理として「無常」の概念が受け入れられ、『平家物語』の「祇園精舎の鐘の声…」や、鴨長明『方丈記』の「ゆく河の流れは絶えずして…」などに代表される中世文学にも「無常」の観念は色濃く投影されました。

マスクの着用も個人の判断に委ねられるようになりました。まさに「無常」です。お互いの笑顔を見ながら季節の花々を楽しみたいですね。合掌

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