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4月のお話し
奈良時代、東大寺の大仏を作る責任者であった行基は、勧進聖(かんじんひじり)と呼ばれる半僧半俗の民間宗教者たちを組織することで、造立にかかる莫大な資金を集めました。こうした民間宗教者を聖(ひじり)といいます。生業を捨て寒暑飢餓の苦痛を伴う諸国遊行の聖たちは、人生の不幸は前世の因縁と死霊のたたりであると民衆に説きました。それゆえ、自分たちに代わって苦しい修行をする聖の勧進に協力することは、贖罪であると同時に、前世や先祖への功徳を積むことであると信じられたのです。
その一方で、期間を限って巡礼の旅に出ることや、山岳修行をすることもまた、同じ効果があるとされました。四国霊場を巡礼するお遍路さんの姿が死に装束であることは、巡礼を死出の旅に出ることになぞらえて、道中の厳しい修行によって罪が清められ、生まれ変わって社会に戻ることを意味します。温かい季節となり、各地の霊場では巡礼の方々が持つ鈴の音がチリンチリンと響いていることでしょう。